「元病院栄養士監修」病院栄養士の主な業務とは?仕事内容や役割、働き方の特徴を徹底解説!

病院栄養士は、患者様の栄養状態を管理し、医療の一環として「食」を通じたサポートを行う専門職です。

そのため、単に食事を提供するだけでなく、栄養評価・栄養指導・チーム医療への参画など、専門的かつ多岐にわたる役割を持っています。

この記事では、病院栄養士の主な業務を「給食管理業務」と「臨床業務」+αに分けて詳しく解説し、それぞれの役割や関わり方、就職先選びのポイントについても紹介します。

目次

給食管理業務

給食管理業務は、主に病院内で患者様に食事を提供する際の一連の業務のことを言います。

例えば、

  • 献立作成
  • 食材、必要物品の発注
  • 衛生管理
  • 調理、配膳、提供
  • 各種帳票の作成、管理

などが給食管理業務としてあげられます。

これらの体制を整えないと、毎日3食提供することができません。

また、病院では疾患のある方に合わせた「療養食」や、嚥下機能が低下している方に向けた「形態食」などを提供することが多いため、様々な制約の中で美味しくて安全な食事を提供することも求められます。

給食管理業務を支える運営方式

献立作成→提供までのプロセスは、病院によって大きく「直営方式」と「委託方式」の2つに分けられます。

この給食の運営方式は病院栄養士の働き方に大きく関わってくるため、特徴を把握しておきましょう。

  • 直営方式:病院が直接調理スタッフを雇用して運営。管理栄養士が厨房業務に深く関与することが多く、調理に入ることも珍しくない。
  • 委託方式:外部の給食業者に業務を委託。献立作成や発注など一部を管理栄養士が担う場合も多い。「完全委託」か「一部委託」かによって、給食管理業務に携わる頻度が変わる。

ちなみに、委託方式でも完全に給食会社に任せきりにすることはできず、監督責任は病院側の栄養士にあります。

そのため、「完全委託」の病院であっても、給食管理業務から完全に離れることはできません。

就職活動の際は、病院がどちらの方式を採用しているかを事前に確認しておくことで業務内容のイメージがしやすくなります。

端的に言うと、給食管理業務に力を入れたいなら「直営方式」、臨床業務に力を入れたいなら「委託方式」がおすすめです。

臨床業務

臨床業務とは、入院・外来患者様の栄養状態を把握し、必要な栄養介入を行う医療的な業務です。

医師・看護師・薬剤師などと連携し、患者様の健康状態に寄り添った食事・栄養支援を提供します。

臨床業務は主に以下のように分類されます。

栄養管理

栄養管理は、患者様の栄養状態を継続的に評価し、病態や摂取状況に応じた食事内容の調整を行う業務です。

主な業務内容として、

  • 定期的な栄養アセスメント
  • 栄養管理計画の作成と見直し
  • 摂食量のモニタリングと食事内容の調整
  • 医師・看護師との情報共有・連携

などがあります。

特に、がんや慢性疾患、術後の患者様など栄養状態が治療予後に大きく影響するケースでは、栄養管理が重要な役割を果たします。

また、病態に合わせた食事の提供、摂取量を増加させるための手段など、幅広い知識と経験が求められる業務でもあります。

栄養指導(栄養相談)

栄養指導は、患者様やその家族に対して、病状に応じた食事の内容や工夫について説明し、生活習慣の改善を促す業務です。

栄養指導の対象となる患者様は、病院の機能によって異なることが多く、

  • 急性期病院:外来患者様への短時間の栄養指導が中心
  • 慢性期病院・回復期病院:入院患者様に対して継続的な栄養サポートを行うケースが多い

という特徴があります。

栄養指導では、糖尿病・腎臓病・高血圧などの生活習慣病や、摂食嚥下障害、低栄養状態などについての幅広い知識が求められます。

それぞれの病態生理と適した栄養ケアの方法を知っておくことはもちろん、患者様が適した食生活を送るために、限られた時間の中で相手に寄り添い、行動変容につなげるコミュニケーションスキルも求められます。

病棟業務

病院栄養士は、外来の栄養指導だけではなく、入院患者様に対する病棟業務も行います。

病棟業務では、

  • 食事に関する問い合わせ対応(看護師・医師から)
  • 栄養補助食品や経腸栄養剤の提案
  • 食事摂取状況の把握と記録
  • 直接病棟を訪れての聞き取りや患者とのコミュニケーション

などを行います。

患者様ごとの微細な変化に気づき、医療チームと情報共有することで、適切な栄養管理につなげる力が必要になります。

NSTカンファレンスへの参加

NST(Nutrition Support Team)は、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などで構成される医療チームのことで、栄養的な側面から、患者様をサポートする集団です。

管理栄養士は、カンファレンスにおいて栄養評価や栄養管理方針の提案などを行います。

NSTでは、低栄養リスクが高い患者様に対して多職種でアプローチを行うため、リスクを拾い出すスクリーニングの力と、チーム医療の一員としての連携力や提案力が求められます。

また、病院によってNSTの活発さには差があるため、関心がある方は事前に病院HPや見学時に確認しておくと良いでしょう。

事務作業

病院栄養士の業務は、「給食管理業務」と「臨床業務」以外に、「事務作業」が多い職種でもあります。

病院栄養士が行う事務作業には、

  • 栄養指導記録、カンファレンス記録の入力
  • 栄養管理計画書の作成・更新
  • 給食発注や納品管理、衛生チェック表の作成
  • 栄養指導件数や栄養状態改善効果の集計・分析

などがあります。

これらはすべてパソコンで行われるため、基本的なPCスキルや事務処理能力は必須です。

また、事務処理の効率化によって、現場業務に割ける時間が増えるため、日頃からタイピングやExcelなどの操作に慣れておくとよいでしょう。

病院の機能によって異なる業務比率

病院栄養士の業務内容は、病院の機能(急性期・回復期・慢性期・療養型など)によって大きく異なります。

  • 急性期病院:臨床業務の比率が高く、栄養指導やカンファレンス参加が多い
  • 慢性期病院:病棟業務や給食管理が中心で、長期入院患者への継続的な対応が求められる
  • 回復期・リハビリ病院:栄養管理と生活支援を兼ねた栄養指導が重視される傾向

就職活動を行う際には、各病院の役割と業務内容の違いを理解したうえで、自分の希望する働き方と合致しているかを見極めることが重要です。

まとめ

病院栄養士は、患者の健康回復とQOL向上のために、食を通じて医療に貢献する重要な職種です。

給食の運営から栄養管理、指導、チーム医療までその業務は幅広く、多様なスキルが求められます。

また、病院の規模や機能、給食体制によって業務の比重は異なるため、就職や転職を考えている方は希望するキャリアに応じて職場を選ぶことが大切です。

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この記事を書いた人

tomoblog「管理栄養士って自由で面白い!」運営者

■管理栄養士としての経歴
急性期病院→特別養護老人ホーム

管理栄養士として働きながら、フリーランスとしても活動中。
webライター、記事の監修、レシピ開発、講師業など多岐にわたって活動している。

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