行政機関で管理栄養士として働くことを希望する場合、多くの自治体で筆記試験が実施されます。
しかし、栄養士職の筆記試験は一般的な公務員試験とは異なる部分も多く、「どんな内容が出題されるのか」「どう対策すればいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、地方上級栄養士職で最終内定を獲得した経験を基に、行政栄養士の筆記試験の具体的な内容や効果的な対策方法について詳しく解説します!
行政栄養士の筆記試験、どんな内容が出題される?

行政栄養士の筆記試験は、自治体によって異なりますが、主に専門科目と教養科目の2つに分かれます。
私が実際に受験した自治体では専門科目のみの出題でしたが、多くの自治体で両方が課される傾向にあります。
専門科目
専門科目は、主に管理栄養士国家試験の内容をベースにした筆記試験です。
行政栄養士として働くために必要な知識を持っているかを確認することを目的としており、私が受験した際は公衆栄養学だけでなく、基礎栄養学や臨床栄養学など幅広い分野から出題されました。
具体的な出題分野:
- 公衆栄養学(栄養政策、地域栄養活動、栄養疫学)
- 社会・環境と健康(保健統計、疫学)
- 基礎栄養学(栄養素の消化・吸収・代謝)
- 臨床栄養学(疾患別栄養管理)
- 給食経営管理論(大量調理・衛生管理)
- 栄養教育論(栄養指導、行動変容理論)
基本的には国試の過去問を勉強しておくことで対応できるレベルですが、単純暗記では点数が取れないため、しっかりと内容を理解することが重要です。
方式は国試同様に選択問題であることが多いですが、記述式の問題が課されることもあります。
また、自治体によって出題傾向や重要視されるポイントが異なるため、国家試験の範囲全体を幅広く勉強し、柔軟に対応できるようにすることが大切です。
教養科目
多くの自治体では、専門科目に加えて教養科目が課されます。
内容は主に、
- 数的処理・判断推理・空間把握
- 文章理解(現代文・英文・古文)
- 社会科学(政治・経済・社会)
- 人文科学(日本史・世界史・地理・文学・芸術)
- 自然科学(数学・物理・化学・生物・地学)
などに大別できます。
これらの試験は、一般行政職と同様の内容で実施されることが多く、公務員試験対策の参考書での学習が効果的です。
筆記試験が実施される自治体の特徴

筆記試験の有無や内容は自治体ごとに大きく異なります。
専門科目のみを課す自治体もあれば、専門科目と教養科目の両方を実施する自治体もあります。
また、論文試験や面接試験の比重も自治体によって様々です。
一般的な傾向として、自治体の規模が大きいほど、一般行政職と同様の試験制度を採用している場合が多いです。
そのため、事前に志望する自治体の試験要項を確認し、それに合わせた対策が必要になります。
行政栄養士の筆記試験は一般公務員と何が違う?

行政栄養士と一般行政職では、筆記試験の内容に以下のような違いがあります。
項目 | 一般行政職 | 行政栄養士 |
教養科目 | 数的処理、文章理解、人文科学、自然科学、社会科学 | 一般行政職と同様 |
専門科目 | 法律系科目(憲法、民法、行政法)、経済系科目(ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学)、行政系科目(政治学、行政学) | 栄養学系(公衆栄養学、基礎栄養学、臨床栄養学、給食経営管理論、栄養教育論など) |
求められる知識 | 行政運営、法制度、経済理論 | 栄養学、食品学、健康政策 |
対策方法 | 公務員試験対策本、法律・経済の専門書 | 公務員試験対策本、管理栄養士国家試験対策本、栄養学専門書 |
行政栄養士の筆記試験対策スケジュールと効果的な学習計画の立て方

行政栄養士の採用試験は、自治体によって実施時期が異なります。
例えば、地方上級試験(都道府県・政令指定都市の大卒程度試験)の一次試験日は、例年6月中旬(令和7年度は6月15日)設定されています。
多くの自治体で、2~5月頃にその年の試験案内が自治体・職種ごとにホームページに公表され、3~4月頃から受験申込受付がスタートします。
この流れをしっかりと把握し、逆算して対策を進めましょう。
必要勉強時間の目安
地方公務員試験に合格するためには、300~1,000時間の勉強が必要であると言われており、自治体や資格によって必要な時間は様々です。
行政栄養士の場合、教養科目と専門科目(栄養学分野)の両方が必要となるため、勉強時間の確保は必須です。
対策スケジュール(目安)
公務員試験合格には多くの勉強時間が必要であるため、多くの合格者が試験の約1年前から勉強を始めています。
つまり、新卒の場合は大学3年生の夏前ごろから勉強を始める必要があるということです。
時期 | 学習内容 | 週間勉強時間の目安 | 重点項目 |
6月(1年前) | 基礎学習開始 | 週10〜15時間 | 数的処理、国家試験の基礎分野 |
9月〜12月(9ヶ月前) | 教養科目・専門科目の体系的な学習開始 | 週15〜20時間 | 文章理解、国家試験の全体学習 |
1月〜3月(6ヶ月前) | 過去問演習開始 | 週20〜25時間 | 過去問分析、専門科目頻出範囲の重点学習 |
4月〜5月(2ヶ月前) | 直前対策と弱点克服 | 週25〜30時間 | 模試、論文対策、弱点克服 |
6月(試験直前) | 最終調整 | 週35〜45時間 | 総復習 |
行政栄養士の学習計画は、試験スケジュールから逆算して立てる必要があります。
行政以外を目指す学生と比較すると勉強のスタートが早く苦痛に感じやすいですが、国家試験の対策を早く始められるというメリットもあるため、就活終了後〜国家試験まではゆっくりと勉強が進められます。
行政栄養士の筆記試験対策に必要な参考書
専門科目対策
病院の筆記試験は主に管理栄養士国家試験の内容がベースになります。
そのため、対策に必要な教材は国家試験用の参考書や問題集になります。
国家試験の教材は就活後も国試本番まで使用するため、早めに購入してしまっても後悔することはないでしょう。
国家試験対策におすすめの教材についてはこちらの記事で詳しく紹介しています!
教養科目対策
多くの自治体では、専門科目に加えて教養科目が課されます。
特に、教養科目の中で多くの受験生が苦手とする「数的処理」で得点することができると、筆記試験突破に近づきます。
勉強には、基礎から実践まで幅広く対策できる「公務員試験対策」の参考書や、出題傾向を対策できる「過去問」での学習が効果的です。


行政栄養士の筆記試験情報の収集方法

筆記試験の対策をするためには、試験内容から対策方法まで広情報を集めることが必要になります。
それらの情報を調べるためには、以下の方法を活用してみましょう。
公式情報の確認
- 各自治体の採用ホームページで試験要項を確認する
- 試験日程一覧のサイトを確認する
過去の試験情報の収集
- 大学のキャリアセンターで同じ自治体の過去の試験内容を確認する
- 公務員試験の情報サイトを活用する
試験対策方法の情報収集
- 合格者の体験談を確認する
- 先輩や知人から情報を得る
- 公務員試験対策の予備校や通信講座の情報を参考にする
自治体によって試験制度や出題傾向が大きく異なるため、志望する自治体の最新情報は必ず確認しておきましょう。
まとめ
行政栄養士の筆記試験は、多くの場合専門科目と教養科目の両方が課されます。
専門科目は管理栄養士国家試験と共通する部分が多いため、効率的に対策を進めることが可能です。
一方、教養科目については公務員試験特有の数的処理や判断推理などの対策が必要になります。
対策範囲が広い分、試験予定日から逆算して早めに勉強をスタートすることが重要です。
また、自治体によって試験制度が異なるため、志望する自治体の試験要項を事前に確認し、それに合わせた対策を行う必要があります。
計画的な学習と適切な情報収集により、行政栄養士としての第一歩を踏み出しましょう。
このサイトでは、「管理栄養士って自由で面白い!」をコンセプトに、管理栄養士についてのさまざまな情報を発信しています。
気に入ってくれた方はぜひ、他の記事も見に行ってみてください!
Instagram、TikTok、公式LINEでは、それぞれ独自のコンテンツを投稿していますので、ぜひフォローお願いします!