「体験談」新人病院栄養士が新卒入社した病院を退職した理由と自分を見つめなおして気づいたこと

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tomo フリーランス管理栄養士

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皆さんは、病院栄養士についてどんな印象を持っていますか?私は、大学時代から病院栄養士にあこがれなんとか高度急性期病院に入職したものの、精神を病み1年目で退職をしました。

今回は、そんな私がなぜ退職をしたのか、そこに至るまで何を考え、何に悩んだのかについて紹介します。

病院栄養士になりたいと思っている方、管理栄養士として働くのがつらい、辞めたいと考えているかたなどに役に立つことがお伝えできればと思います。



少しばかりの自己紹介

まず少し私の自己紹介をしたいと思います。

私は4大に通い管理栄養士の資格を取得後、高度急性期病院に就職しました。

大学入学前から病院栄養士にあこがれ、在学中もその気持ちが変わることはなく病院栄養士になる一心で勉強を続けてきました。

就活でも、就職した病院とグループの病院、地方上級の公務員の3つの内定をいただき、はたから見れば円満に就活を終えたと思います。

しかし、第一希望であった病院に就職したものの精神を病み、退職することとなりました。

どうして病院を退職したのか

退職理由

退職した理由は、仕事を原因として「うつ病」になったからです。

うつ病と診断された後は休職しており、復職を前提に療養していましたが叶わず、年度末で退職する決断をしました。

復職しなかった理由

休職中は復職する前提でお休みをもらっていましたが、うつ病の症状が回復せず結局戻ることはできませんでした。

休職期間の最初は、一旦休んで落ち着いたらまた行けるだろうと思っていましたが、いざ戻ろうとすると職場の人に会うのが怖くなり、家から出ることができなくなると言うのを繰り返し結局退職を選択しました。

二度復職のために調整してもらった

症状が良くなり復職に向けて動けるようになった時期もあったため、職場の上司や産業医の先生、保健師さんとも面談させていただき、復職の日程を決めました。復帰日前日までは「頑張って戻るぞ」という気持ちでいましたが、前日の夜から戻った後のことを考え不安になり症状が再発。

結果日程調整をしてもらったにも関わらず出勤できませんでした

その後、再度病状が回復したため慣らし期間を経て復帰するよう日程を組んでいただきましたが、前回と同じように「職場の人と会うのが怖い」「復帰した後にどう思われるかが怖い」という考えから抜け出せず復帰を断念しました。

二度の復職失敗を経て退職について考えるようになり、何度やっても戻れる自信がなかったため退職を決断しました。

うつ病になった理由

うつ病は様々な原因が重なって発症したと思っています。

というのも、「これが原因で体調を崩した」という理由がないからです。

ただ、自分なりに辛かったことはあるのでそれをまとめていきたいと思います。

先輩についていけなかった

私の働いていた病院は栄養指導の件数が非常に多く、1人あたり月100件を目安にしていました。そのため、働いている方は皆優秀な方ばかりで、ついていくことができませんでした

元々栄養指導をしたいと思い入職したので、早い段階から指導を行えるのはとても嬉しかったですが、3ヶ月ほど経ち一人で指導できることが多くなるのと同時に、ミスが増えてきました。

というのも、求められる知識能力に追いつけず、怒られるのを怖がるあまりミスを繰り返すという悪循環に陥っていました。

先輩方は知識も経験も豊富で素晴らしい方々ばかりですが、その分自分との差を感じていました。

また、病院で働くことを決めた時点で勉強を続けていく覚悟はできていましたが、仕事をこなすだけで精一杯。帰ってから勉強することもできず毎日周りに置いて行かれている気分でした。

休みの日も仕事のことを考えたくないのに気になってしまう。でも勉強をする気力もなく月曜日を迎え成長していない自分に嫌気がさす。そんな毎日を送っていました。

プレッシャーに負けた

上司は入職前から「期待している」との言葉をくれ、自分もそれに喜んでいましたが、仕事がうまくいかなくなってからはその言葉がプレッシャーに代わっていきました。

上司のことは尊敬していますし、言葉以上の意味(脅迫的な内容)はないと分かっていてもどうしてもそれに応えられないことが辛くなってきました。

新人であっても、「社会人だから甘えてはいられない」と思えば思うほどその考えはプレッシャーになり、それを職場の人にも伝えられないままうつ病を発症しました。

将来を不安視しすぎた

私は自分の将来やお金に対する不安が強く、常にこのままで良いのかと考えるくせがあります。

私が就職した病院は、病院栄養士として働くのであればこれ以上ないほど環境の整っている病院ですが、そもそも管理栄養士の給料が他職種に比べ低く、地位が低いということに強い不安感を感じていました。

加えて、栄養課の方々も年齢が若く自分が管理職に就くことは難しいであろうことも入職前に感じていました。

そういった不安を払拭できず、勉強する意味や必要性を見失い自己嫌悪に陥ることの繰り返しでした。

働く理由をごまかしていた

休職中に自分を鑑みて気づいたことですが、私はどこまで行ってもお金のため以外には働けません。

というより、お金の問題が解決しないとそれ以外をモチベーションにはできないと気づいたのです。

病院を志したのも、「誰かのためになる仕事がしたい。そのほうが続く」と思っていたからです。

その考え自体は今も変わりませんが、それよりも先に解決すべきはお金の問題でした。

大学の学費をすべて奨学金で賄い、金銭的に親にも頼れない自分では、何よりもまずお金の問題を解決しなければならなかったのです。

しかし、それを就活で伝えるわけにもいかずそれ以外を伝えた結果その不安に負けうつ病になってしまったのです。

退職を決めて感じたこと

管理栄養士の資格をとっておいてよかった

退職を決めてから感じたことは、とにかく管理栄養士の資格を取っておいてよかったということです。

もちろん給料など不安もある資格ですが、仕事が見つからないということは無い資格だと退職した今、強く思います。

資格を活かさない仕事に就いたとしても、管理栄養士を持っているからこそできる仕事がこの先も選択肢に入るというのはメンタル的にもかなり大きいと思っています。

自分にとって何が重要か考えることができた

休職、退職を経て仕事をする上で何が重要なのかを知ることができました。

社会人1年目で退職することは非常に不安で今もまだ正しい選択だったかわかりませんが、少なくとも自分のことを見つめ直すきっかけになったのは良かったと思っています。

退職に後悔がある

退職を決めた今でも、復職できればよかったという後悔があります。

理想は長く働き続けて経験を積むことだったので、1年目から退職することには少なからず後悔があります。

それでも、自分のことを優先して行動することが大事であると感じられたこの経験は今後の自分のためになると思って生きていこうと思っています。

ここまで読んでくれた方々へ

どんな人間でも少なからず悩みはあると思いますが、私のように追い詰められないために伝えたいのは、自分を一番優先して良いということです。

働いていると必ずしんどいこともあると思いますが、そこから逃げることは悪いことではありません。

自分も周りに迷惑をかけると思い誰にも相談せず抱え込んでいました。症状が悪化した時は何度も自殺を考えました。

それでも何とか踏みとどまり何とか生きています。周りのことを想うなら、まずは自分が幸せになれる環境を作ってください。

私は生きていることがなによりも大事だと思います。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。

自分語りになり恥ずかしい気持ちもありますが、同じように悩んでいる方の助けになれたらうれしいです。