給食現場経験はキャリアに必須?管理栄養士が「入る/入らない」判断基準を解説

栄養士・管理栄養士として働くまたは就活を進める中で、「給食現場の経験は必要なんだろうか?」と不安を感じた経験はありませんか?

栄養士・管理栄養士の活躍の幅が広くなってきた昨今でも、「我々の専門性を支えるのは給食現場の経験である」と考える栄養士も多いです。

しかし、栄養士として活躍するためには、本当に現場経験が必要なのでしょうか?

この記事では、完全委託の高度急性期病院、直営の特別養護老人ホーム、福祉施設のセントラルキッチンで働いた経験のある筆者が、現役管理栄養士として、現場経験の必要性について解説します。

※個人的な意見を含みますので、参考程度にご覧ください。

目次

給食現場経験は必要か否か

様々な意見がある栄養士・管理栄養士の給食現場経験についてですが、私個人としては、「目的と期間を決めて入るのは良い。ただし、常態化は避けるべき」と考えています。

給食の経験は栄養士の根幹を支える重要なものですが、長期的に厨房に入ることは専門性を磨くことができず、燃え尽きるリスクも高いです。

また、給食経験自体には価値がありますが、職場によって必要度が変わるため、給食経験よりも優先すべきことがある点についても忘れないようにしましょう。

給食の現場経験とは?

給食の現場経験とは、主に

  • 献立作成
  • 発注
  • 検品・保管
  • 調理
  • 盛り付け
  • 配膳
  • 洗浄
  • 衛生管理
  • その他給食運営に必要な帳票作成

などの、給食を提供するために必要な一連の給食管理プロセスに携わることを指します。

これらの業務は栄養士・管理栄養士の基礎であり、栄養指導を始めとした栄養士の業務はこれらの知識の上に成り立っているといっても過言ではありません。

そのため、給食の現場に入らずに栄養士業務に従事すると、本質を理解できないまま業務を進めることにもなりかねません。

給食の現場経験が必要な4つの理由

現場経験を積み、給食を提供する一連のプロセスを理解することで、栄養士・管理栄養士としてどのようなメリットがあるのでしょうか?

仕事の本質が見える

給食の現場に入ると、栄養士が行う業務の本質が見えてきます。

例えば、栄養指導で「塩分6g未満の食事を心がけましょう」と伝える際、実際に塩分6g未満にするためにはどの程度調味料を削減しなければいけないのかがわかるようになります。

そうすると、患者様の「できない」という気持ちに寄り添えるようになります。

他にも、嚥下調整食や療養食を調理することの難しさ、時間通りに提供することの難しさなどがわかることで、献立作成や作業動線の構築に役立てることができ、業務効率が上がります。

効率的に働けるようになる

給食現場は時間との勝負です。厨房に入ると、「いかに効率よく仕事をするか」ということを考え、効率的に働けるようになります。

「この作業をなくしたら時間に余裕ができるのではないか」「提供時間ギリギリになる原因はなにか」そういった思考を持てるようになると、効率的に仕事を進める能力が培われ、社会人として必要な能力が育ちます。

「数字を見る」能力が培われる

厨房に入ると、材料費、人件費、水光熱費、売上といった「数字を見る」能力が培われます。

病院や介護施設などでは、実質的に食費の請求可能額が医療保険や介護保険などで決められているため、材料にこだわって美味しい食事を提供しても値上げすることが困難です。

そのため、現場に入ると「いかに安く料理を作るか」、「いかに少ない人数で調理をするか」といったことを考えるようになります。

これらは栄養士を苦しめる原因でもありますが、逆に「数字を見て判断する」という合理的な思考を培えるというメリットもあります。

職場での信頼を得られる

現場に入る栄養士は、入らない栄養士と比較して、調理員や委託会社のスタッフからの信頼を得ることができます。

どんな人間でも、自分がやっていることを知ろうとしてくれていることで仲間意識を持ちますし、現場を知らない人間からの指示には素直に従えないものです。

特に、厨房という常に忙しい環境では、そういった空気が強い傾向にあります。

そのため、職場での信頼を獲得し、働きやすい環境を作るためにも、現場に入るという経験は効果的です。

現場経験が必要ない場合もある?

基本的に、栄養士として現場経験を積んでおくに越したことはありませんが、完全委託の病院や施設の場合、給食経験よりもそれ以外の業務に従事する方が専門性を磨ける場合があります。

例えば、「外来中心の病院で一年目から栄養指導をやる」「急性期の病院で病棟に配置される」「施設の利用者様の栄養ケアを優先する」といった場合は、給食経験よりも臨床分野の知識や経験を積むことを勧められることがあります。

こういった場合は、常態的に現場に入るのではなく、勉強のために短期的に入ったりするのが最も効率的です。

給食の現場が抱える問題点も忘れずに

現場経験を積むことは重要ですが、給食現場には様々な問題があることも忘れてはいけません。

以下の問題点を理解したうえで、どのように現場に入るのかを判断しましょう。

慢性的な人手不足

給食の現場は、慢性的な人手不足に悩まされていることが多いです。

そのため、給食現場では激務であったり、教育がしっかりとなされていなかったりと、人手不足に伴う問題も多いです。

身体的な負担

給食現場は、調理、配膳、洗浄と肉体労働であることが多いため、身体的な負担にも注意が必要です。

特に、一度に大量の食事を調理する場合、長時間食材を切ったり、大量の食材を混ぜたりと体にかかる負担も大きくなります。

教育制度の不足

給食現場では人手不足を理由に、教育制度が不足していることも多いです。

教育制度の不足は働きづらさに繋がりやすく、仕事を続ける妨げになることが考えられます。

また、業務内容や作業理由が不透明なまま業務を行うことは、心理的なストレスにもつながります。

アナログ依存

給食現場では、アナログな業務方法に依存しているという問題点もあります。

給食現場では、経費削減を第一に考え、新しいシステムの導入がされていないということも多いです。

また、スタッフの高齢化に伴い、デジタル化が進まないなどの問題も多く、アナログ依存による作業効率の低下が懸念されています。

アナログ依存でも仕事はできますが、特に若い世代の栄養士はストレスを感じることが多くなるかもしれません。

まとめ

栄養士、管理栄養士は給食現場に入るべきか否かについて、個人的な意見を中心に紹介してきました。

栄養士として働く上では、給食経験が必要であると思いますが、長期的に厨房業務に携わるのはお勧めではありません。

今回紹介した内容をもとに、就職活動や転職活動を進めていってください!

当ブログでは、無料で栄養士・管理栄養士の個別サポートを行っています。

就職活動に迷ったら、公式LINEで「就職相談」と送ってください。

今の状況に合わせて個別の対策プランを一緒に考えます!

このサイトでは、「管理栄養士って自由で面白い!」をコンセプトに、管理栄養士についてのさまざまな情報を発信しています。

気に入ってくれた方はぜひ、他の記事も見に行ってみてください!

Instagram、TikTok、公式LINEでは、それぞれ独自のコンテンツを投稿していますので、ぜひフォローお願いします!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

tomoblog「管理栄養士って自由で面白い!」運営者

■管理栄養士としての経歴
急性期病院→特別養護老人ホーム

管理栄養士として働きながら、フリーランスとしても活動中。
webライター、記事の監修、レシピ開発、講師業など多岐にわたって活動している。

目次