昨今、目覚ましい発展を続けるAI。今ある仕事のほとんどは将来的にAIに取って代わられるといわれていますが、管理栄養士も例外ではないのでしょうか?
この記事では、管理栄養士の仕事がAIによってどのように変化していくのか、そしてこの先どのようにAIと共存していく必要があるのかについて紹介していきます。
AIとは何か
AIとは人工知能の略で、人工的に構築されたコンピューターシステムによって、人間が行うタスクを自動化してくれます。
AIの応用分野は多岐にわたり、自動運転技術や音声認識、画像認識、医療診断支援など、あらゆる分野で利用されています。
しかし、その利便性の反面、その圧倒的な処理速度から人間が行っている作業等を代替わりすることができるため、将来的に人間の仕事を減らしてしまうのではないかと言われています。
管理栄養士はAIに代替わりされる?
このように利便性と危険性を持ったAIですが、管理栄養士の業務はAIに代替わりされるのでしょうか?
結論は、NOです。
正確には、単純な事務作業や食事プランの作成の支援などはAIに任せ、最終的な判断やアドバイスは管理栄養士が行うこととなります。
AIはデータを解析することが得意であり、大量の情報を迅速に処理することができますが、人間の感性や経験に基づく判断や対応には限界があります。
そのため、管理栄養士そのものに取って代わられる可能性は低いです。
場合によっては管理栄養士の仕事がなくなることも
AIが発展しても、最終的な判断やアドバイスは管理栄養士が行うことになると言いましたが、実は、単純作業が多い業界で働いている管理栄養士は、AIに代替わりされる可能性があります。
AIに代替わりされるかもしれない管理栄養士の業務
調理業務
AIが発展し、調理業務の行えるロボットが開発されると、厨房で働く管理栄養士の人数が少なくなる可能性があります。
実際、現時点で給食調理用のロボットが実用段階まで来ていますので、近い将来厨房はロボットだらけになる可能性があります。
そうなれば厨房で働く調理師や栄養士も仕事を失う可能性は少なくありません。
ただし、管理栄養士は給食管理の長として現場に必要なことに加え、ロボットを大量に導入することは現実的には難しいため、すぐに代替されるということはなさそうです。
しかし、今のうちから将来の身の振り方は考えておく方がよさそうですね。
献立作成、発注を始めとした給食管理業務
栄養士が行っている給食管理業務も、将来的にAIに代替わりされる可能性が高いです。
必要な栄養素を満たした献立の作成、提供に必要な食材の発注、給食管理業務に付随する書類作成などのほとんどはAIが得意とする領域です。
そのため、給食管理業務は近い将来AIに代替わりされる可能性があります。
ただし、最終チェックや利用者の意見の反映など人間でなければ行えない場面もあるため、全く関わらないことはありませんが、献立作成に必要な人数は大幅に減少すると考えられます。
栄養状態のモニタリング
病院や施設を始めとした管理栄養士が行っている、栄養状態のモニタリングも、AIに代替わりされる可能性があります。
現在病院などでは、血液検査の結果や患者様の主訴などにより栄養状態をモニタリング、アセスメントしていますが、こういったデータの分析もAIが得意とする領域です。
しかし、これらの業務がAIによって自動化されると、管理栄養士が気づけなかった変化に気づけるようになり、より高度な医療が提供されるというメリットもあります。
そのため、業務自体を代替わりされる可能性が高いですが、それによって管理栄養士の人数が減るなどのデメリットは生まれにくいです。
AIに代替わりされない管理栄養士の業務
栄養指導などのアドバイス
管理栄養士の花形ともいえる栄養指導は、AIに代替わりされる可能性が低いです。
栄養指導は患者様の食生活や性格など様々な要素を聞き取り、共に考え行動変容に繋げていく業務です。
そのため、正しい知識の提供だけではなく、患者様に寄り添った指導が必要です。そして、それは人間でなくては難しいです。
AIが得意とするデータの分析や情報提供も、正しい知識の提供という意味では価値がありますが、それだけで患者様の心を動かし行動変容に繋げるのは非常に難しいため、効果的な栄養指導を行うには管理栄養士の技術が必要とされます。
栄養管理
患者様、利用者様に合わせた栄養管理なども、AIに代わられることは少ないです。
病院や施設で働く管理栄養士の目的の一つである栄養管理は、それぞれに合わせた適切な食事を提供することで達成されますが、どうしてその食事が提供されているのか、どうしてこの食材が禁止なのかといった説明は、管理栄養士が行う必要があります。
これも、栄養指導と同じく正しい知識の提供だけでは納得していただくことが難しいため、管理栄養士が直接話をする必要があり業務としてなくなることはありません。
臨床的な判断
管理栄養士が行う臨床的な判断もAIに代替される可能性が低いです。
上で紹介したように、栄養状態のモニタリングはAIの得意とするところですが、それを使った最終的な判断はデータとその他の情報を複合的に考えて人間が行う必要があります。
そのため、管理栄養士として栄養状態や疾患などの臨床的な判断を行うことはAIに代わられる可能性が低いです。
AIに代わられない管理栄養士になるには
ここまでAIに代替わりされる業務、そうでない業務について紹介してきましたが、実際にAIに代わられない管理栄養士になるにはどうすればよいのでしょうか。
自分だけの強みを見つける
自分だけの強みを見つけることが、AIに代替されない価値のある管理栄養士になるために必要です。
特に、物事を判断するための知識と経験がこの先さらに価値を増していきます。
単純な知識はAIによって補助されるため、求められるのはそれをしっかりと判断し活用するための知識です。
また、AIにはできない人間としての経験も大きな価値を持つようになります。
そして、それらを組み合わせた自分だけの独自性が自分の強みとなり、AIに負けない管理栄養士になることができます。
コミュニケーション能力
管理栄養士として、行動変容を促せるだけのコミュニケーション能力も今後価値が高まっていきます。
AIに代替されない業務の大半は、栄養指導を始めとした人間が話すことで得られる効果が大きいものです。
そのため、話した相手が聞き入れて行動を変えてくれるようなコミュニケーション能力は、AIにはない人間としての独自性を発揮するために非常に重要になります。
臨床業務に携わる
働き方という点に着目すると、病院栄養士を始めとした臨床業務に携わることでAIに代替されない人材になることができます。
AIに代替される業務は単純作業や給食管理業務が多く、逆に代替されない業務は臨床業務に多いです。
そのため、病院で臨床業務に携わることでAIによる脅威を避けることができます。
今現在栄養士の資格のみを持っているという方は、管理栄養士の資格を取り臨床業務に携わるというのも身を守る1つの手かもしれません。
まとめ
今回は、AIが管理栄養士の業務に与える影響について紹介してきました。
発展目覚ましいAIに仕事を取られないためには、自分の強みを持って働くことが非常に重要です。
この先、AIのことを知らなかったでは済まされない時が必ず来るので、今のうちに対策方法を考えておきましょう。
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